会社を設立してから1年経ちましたが、そっちは休眠させて他の会社で働くことにした話

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なんで会社を設立したんだっけ

昔から何者かになりたかった。
偉人の伝記とか、ビジネス書とか、エンジニアの伝記とか、そういうのが好きで 「いつか自分も世の中に影響を与える存在になりたい!」 って思ってた。
だから、エンジニアとしてのキャリアが始まった瞬間、スタートアップやベンチャーの現場に身を置いて、その熱さを直に感じてきた。

Omovista合同会社を立ち上げたときのミッションは、「おもしろいこと、全部やる」

もちろん、面白いことはやりたい。ただ、真の面白さって、面白くない経験をしないと見えてこない。だから「とりあえずできること」をやることにした。
設立時点で、 「こういうプロダクトを作りたい!」 的なアイデアはなかった、だから受託開発をしようと思った。

主戦場はもちろん、シードやアーリーのスタートアップ・ベンチャーを中心にした。これまでの経験からなにか力になれると思っていたから。

速攻で課題を撃破していく。
まるで遊撃部隊みたいに、フットワーク軽く技術の力であらゆる不便や不条理を爆速でぶっ壊していきたかった。


苦悩

受託ということはもちろん、営業もしなければならない
正直、エンジニア出身の自分にとって、営業は全くの未知領域だった。
だから、思いつく限りのことは何でもした。

  • 地元のお店に電話をかける
  • フォーム営業
  • マッチングSaaSを活用する
  • リストを買って片っ端からアポを取る

でも、どれもピンとこなかったし、 何一つ結果に結びついたものはなかった。
自分なりに泥水をすすって前に進んでいたつもりだった。
唯一の頼みの綱にしていた受託マッチングSaaSも コネも実績も目立つプロダクトもなく、株式会社でもない合同会社という枠 でコンペにも勝てなかった。

営業は素人の自分には向いてなかったのかもしれない。プロに外注すればよかったかもしれない。

正確にいうとコネは多少なりともあった。でも、プライドが邪魔をした。

> 自分なりに泥水をすすって前に進んでいたつもりだった。
と書いたが、少し訂正したほうがいいなと気づいたので訂正する。

手段をいとわずひたすら愚直に暗闇を進む決断ができなかった。
バカな自分は覚悟も引き際も知らなかった

結局、技術で不条理を解決する前に、そもそもチャンスすら与えられなかった   あるいは チャンスをつかむ努力もちゃんとできていなかったか、その方向を誤っていたのかもしれない。

キャッシュフローの管理も甘かった。
役員報酬はゼロに設定していた。もともと個人事業の1部を法人化したようなものだったし、生活費は既存の個人事業で何とかやりくりできた。

でも、法人としては売上が全く伸びず、でも毎月SaaSやその他ツールのお金はかかるので、個人事業の売上から毎月会社にお金を入れていた。

結果として役員貸付だけがどんどん膨らんでいった

「貸付ばかりだと見た目の数字も良くないですよ~」と顧問税理士から指摘されたので融資を検討したが 「役員貸付が多いですね~」 と、どこの融資でも指摘され結局融資は通らなかった。時は既に遅かったのだ。

会社を設立した段階で、融資を検討しておくべきだった。
あるいは、個人事業を全て法人化し役員報酬は生活を維持できるぐらいに設定して、あとはひたすらプールしてランニングコストに充てるべきだった。

全てが中途半端だった。二兎追う者は一兎をも得られなかった。


休眠の背景

そんなわけでなにもうまくいかず、結局自分は何者にもなれなかった。
優れた技術も、革新的なイノベーションのアイデアも、覚悟も、自分には足りなかった。

ただ、若さだけで「可能性がある」「まだいける」なんていう、根拠のないただの思い込みだけしか持ち合わせていなかった。

それこそ盲信的で誤った使命だったと思う。

悩んだ。

何者にもなれないなら、自分は一体何をなすべきなんだ?

しばらく自分に問い続けてた。
何か月も悩みに悩んでたどり着いた答えは、

「何者にもなれないなら、少なくとも自分が『自分であった』ことを証明する」 だった。

その証明の原則は、意外とシンプルだった。
「全うし、与え、託し、繋ぐ、そして広げる」

好きな人たちに、好きな会社やプロダクトに、もっと推進力を与えて、一緒に前に進む。

それが、自分の中の哲学であると悟った

1人社長ででずっとで走ってきたからこそ、人との繋がりが恋しかった。半期ほど悩んだ末、休眠という決断を下した。


ターニングポイント

そんな中、個人事業で1年前から関わってたベンチャーから、「週4日に稼働を増やせませんか?」という提案が来た。

これだ! と直感した。
その取引先は好きだし、実際にプロダクトも愛用してるし、 何よりそこにいる人たちが大好きだった。

ペットも一緒に暮らしている現状。本来であれば即決せずにじっくり考えて、結論を出すべきではあると思ったが ただそのときの自分は、その刹那に感じた直感を信じたかった。
だから、こちらから「だったら社員化も検討してほしい」と、思い切って提案してみた。


これから

Omovista合同会社は休眠状態に入る。だけど副業は続けるつもりだから、プールしてるお金は有効に活かしていく。

Omovistaが再始動するか、もしくは静かに解散するかは、今後の状況次第。
でも、やるべきことはやるし、きちんと片付けなきゃいけないことはきっちりやっていく。

4月からは新たなチャレンジが始まる。

自分の法人が失敗したから、逃げたんじゃないの?」なんて思う読者諸君も居るかもしれない。そうといわれれば、そうだ。
ぐぅのねも出ない。ぐぅ。

ただひとつ、最近影響を受けた漫画の言葉を引用させてもらおう。

> “不正解は無意味を意味しない

法人設立から休眠までの道のりで、たくさんの過ちを犯した。
ただ、過去は資産であると思う。教訓は得た。それらは決して無意味なんかじゃなかった。後は前に進むだけだ。

これまで、スタートアップやベンチャーで鍛え上げた技術とプロダクト志向という武器で、かつての自分を超えるものを作り続ける。

これから自分は「何者かになる」んじゃなくて、「自分が自分であった軌跡」を証明していく。

全うし、与え、託し、繋ぐ、そして広げることで証明していく。
関わってくれるみんなに、少しでも力を届けられたら嬉しいな~と思う。

おしり。